地域の芸術文化史を見直し、多くの人々に知っていただくことを目的として、郷土ゆかりの企画展覧会「庄内の美術家たち11　上洛の日本画家　服部五老と富樫景堂」展を開催します。

明治30年頃に、鶴岡に生まれながらも、日本画を学ぶために京都へ赴いた人物がいました。
服部五老と富樫景堂というふたりの画家です。 鶴岡においても、そして京都においても、彼らふたりの交流を示す史料は見出せませんが、 まさに同じ時期に上洛したこのふたりの日本画家を併せて取り上げ、その作品を紹介します。

服部五老は1869／1871（明治2／4）年に旧庄内藩士、服部大策の長男として生まれました。 従兄弟には書の大家、松平穆堂がおり、息子の服部二柳も数奇な画人として名を知られています。 画家を志した服部五老は京都へ出て、南画界の重鎮である田能村直入に師事し、のちに高弟となりました。 明治30年代から日本美術協会展や文部省美術展覧会（文展）、日本南画院展に出品し、京都画壇では橋本関雪や竹内栖鳳らと並び称されたと言われています。
しかしながら、晩年は私生活の乱れから財を失い、不遇のなか1930（昭和5）年にこの世を去りました。

一方の富樫景堂は1876（明治9）年に旧庄内藩士、富樫澄の長男として鶴岡に生まれました。 画家を志し、京都へ出たのは1898（明治31）年のことで、四条派の今尾景年に師事し、のちに高弟となりました。 新たな日本画の潮流である日本美術院と日本絵画協会の連合展に出品を重ね、1902（明治35）年には二等褒状を受けています。 京都美術協会でも活躍し、1919（大正8）年発行の『京都画壇の壱百人』にその名前を見ることができます。
しかしながら、終戦後の1946（昭和21）年、鶴岡に帰郷していたことを知るのみで、その経歴には不明な点が多く、宝塚で逝去したと言われていますが没年すら判明していません。

本展覧会では、京都画壇に身を投じて活躍した服部五老と富樫景堂の掛軸を中心に、山形美術館が所蔵する富樫景堂の佳作「渓谷舟遊図屏風」を加え、約30作品を展覧します。

1. ギャラリー・トーク

当館学芸員による作品解説を行います。

日時： 2月6日(土)、3月5日(土)　各日14:00〜15:00


参加料： 無料　※ただし、入場には観覧券が必要です。
申込み： 不要、ギャラリーへ直接お越しください。


2. 市民交流プログラム・座談会
   「日本画は可能か？東北画は可能か？――地方之国構想 鶴岡編――」

ゲストの三瀬夏之介さんと一緒に、開催中の展覧会を観覧した後、「日本画」や「東北画」、そして「鶴岡」について談話いたします。

日時： 2月20日（土）　13:30〜15:00 (13:00 開場)


参加料： 無料　※ただし、入場には観覧券が必要です。
申込み： 不要、会場へ直接お越しください。
席に限りがございます(50席程度)。予めご了承ください。


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